肩関節
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診察 • 診断
肩関節後方不安定性と肩甲骨機能不全の関係
-肩甲骨の運動性低下の存在-
藤井 康成泉 俊彦東郷 泰久小倉 雅栫 博則
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2017 年 41 巻 2 号 p. 372-374

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抄録

 肩関節後方不安定性の有無でjerk test時の肩甲骨の動きの差を検討した.対象はjerk testにて明らかに関節窩から骨頭が(亜)脱臼を呈した49肩(後方群)と不安定性を認めなかった66肩(健常群)であった.
 jerk test時の肩甲骨の評価法は,検者の一側の手を検査側の肩甲骨後面に充てがい,他側で後方にストレスを加えながら水平内転した際に肩甲骨の外転運動が起こるか否かを評価した(scapula mobility jerk test:SMJT).上腕骨頭の後方へ(亜)脱臼を認め,その際肩甲骨の外転運動を認めない場合を陽性,肩甲骨が外転し後方不安定性を認めない場合を陰性と評価した.
 後方群におけるSMJTは全例陽性で,健常群は63肩(95.5%)が陰性であった(p<0.05).
 肩関節後方不安定性を有する症例は,肩水平内転に連動した肩甲骨の外転運動が生じず,肩甲骨の運動性低下の存在が窺われた.

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© 2017 日本肩関節学会
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