2017 年 41 巻 2 号 p. 451-454
上腕骨近位端骨折における人工骨頭置換手術は結節の骨癒合不全に伴う腱板機能不全により,満足のいく結果が得られていない.その原因として結節縫合法の違いが影響しているものと考えられる.そこで結節縫合群(S群)とケーブル締結群(C群)の術後臨床成績とレントゲン所見を比較検討した.上腕骨近位端骨折に人工骨頭置換術を行い,術後1年以上経過観察し得た35例35肩を対象とした.受傷時年齢は平均72.9歳(49-86歳)で術後経過観察期間は平均15ヵ月(12-20ヵ月),S群が16例16肩,C群が19例19肩であった.臨床評価はJOAスコアとConstantスコアで評価し,単純レントゲン所見で結節の解剖学的骨癒合の位置を検討した.術後平均JOA / ConstantスコアともにS群(71.4±8.25/59.6±9.7)はC群(78.9±4.9/68.2±10.3)より低かった(p<0.01).また結節の解剖学的骨癒合はS群で63%,C群95%にみられ,C群で融合率が高かった(p<0.02).人工骨頭置換術における結節ケーブル締結法は縫合法に比べ,結節の良好な解剖学的骨癒合により良好な臨床成績が期待できる.