抄録
【目的】当科における小児上腕骨近位端骨折の治療成績を調査し,予後を明らかにすることである.
【対象・方法】1992年10月から2015年4月までに治療を行った18例に対し,骨折型,転位の程度,治療,後遺症について調査を行った.
【結果】骨折型は,骨幹端骨折が7例,骨端線損傷が11例(Salter-Harris分類I型2例,II型9例)であった.転位の程度は骨端線損傷ではNeer-Horwitz分類III,IV度が10例であった.治療は手術が3例,保存治療が15例であった.後遺症は,骨頭の内外反変形8例,上腕骨短縮5例であった.受傷時年齢が11歳以上でNeer-Horwitz分類III,IV度の症例では67%に内外反変形を認めた.上腕骨短縮例は全例骨端線損傷であり,その80%に 遠位骨片による成長軟骨板の貫通所見(Perforation signと定義した)が認められた.
【結論】小児上腕骨近位端骨折において,11歳以上で転位の大きい症例では上腕骨頭の内外反変形の残存,Perforation sign陽性例では骨端線早期閉鎖による上腕骨短縮のリスクが高い.