2017 年 41 巻 2 号 p. 480-483
肩腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(ARCR)では,術後に肩の夜間痛が持続する症例を経験する.術後にNSAIDsとトラマドール・アセトアミノフェン合剤(TA合剤)を併用することで,夜間痛が抑制されたので報告する.ARCR施行例に対し,アンケートで得られた夜間痛に対するVAS(P-VAS)を用いて術後14日間の推移を評価した.術翌日のP-VASが53.1mm未満(L群)と53.1mm以上(H群)に分類し,NSAIDsのみを使用する群(N群)と術翌日からTA合剤1錠を眠前に併用する群(T群)とで鎮痛効果を比較した.P-VASが53.1mm未満の症例はN群57肩(NL群),T群13肩(TL群)で,夜間痛は自然軽快する傾向にあった.53.1mm以上はN群37肩(NH群),T群23肩(TH群)で,TH群は術後10~12日目でNH群と比較してP-VASが有意に抑制された.経過中に疼痛が再燃した症例はTH群で有意に少なかった.術翌日の夜間痛が強い場合にTA合剤を併用することで,遷延する夜間痛を減弱できた.