2018 年 42 巻 2 号 p. 429-432
鏡視下Bankart修復術を行った外傷性肩関節不安定症120肩(男117例,女3例)に対しBiodex System 3TM(BIODEX, New York, USA)を用いて術前後の肩関節位置覚を調査した.健常者40肩(全例男性)を対象群とした.位置覚の測定は,肩90°外転,内外旋中間位を基準に外旋75°を目標に設定し,RAI(reproductive angle inaccuracy:目標との誤差角)を3回測定した.平均RAIは対象群4.9°に対し,外傷性肩関節不安定症では術前6.1°,術後3カ月6.4°と有意に上昇していた(p<0.05).その後,術後6カ月5.3°,術後1年5.0°,最終観察時(平均31.5カ月)で5.1°と対照群とほぼ同程度で推移した.外傷性肩関節不安定症では健常者と比べ位置覚が有意に劣っており,鏡視下Bankart修復術によるAIGHL複合体の再建は位置覚の改善に寄与する.