肩関節
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脱臼
反復性肩関節脱臼・亜脱臼における関節唇アンカー深度は術後前方骨形態を悪化させる
内山 善康大見 博子今井 洸新福 栄治渡辺 雅彦
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2019 年 43 巻 2 号 p. 429-432

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抄録

 我々は挿入したアンカーの深度が関節窩骨形態悪化に影響している可能性を後ろ向きに検討した.当院で治療した反復性肩関節脱臼・亜脱臼(反復脱)例82例中,42例(男性28例,女性14例)を対象とし,平均年齢は23.6歳(14-66歳),平均経過観察期間は21.3ヶ月(12-36ヵ月)であった.関節唇再建時にアンカーを深く挿入したD群22例22肩(男性14例,女性8例)とアンカーを浅く挿入したS群20例20肩(男性14例,女性6例)の前方骨形態を術後6ヵ月時のCT画像で評価し比較検討した.最終経過観察時に両群に術後再脱臼は無く,術後前方不安定感にも差は見られなかった.しかし両群における術前後の骨欠損率の差や関節窩前方傾斜角度の差,さらにアンカーホールの拡大もS群に比べD群で大きかった(p < 0.05).反復脱における前方関節唇修復アンカーを関節面側から深く挿入すると臨床成績には差は無いものの,アンカーホールの拡大と関節窩前縁の骨吸収が増加し,術後前方骨形態を悪化させる可能性が示唆された.

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© 2019 日本肩関節学会
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