抄録
小径人工骨頭置換術と腱板再建術を施行した70歳以上の腱板断裂性関節症(以下CTA)症例の長期成績を調査した.対象は12例,平均年齢75歳で,腱板再建術として広背筋・大円筋後方移行術3例,肩甲下筋腱部分移行術,上腕二頭筋長頭腱移植術を各2例,大胸筋移行術を1例に併用した.平均経過観察期間は10.2年だった.術前後JOAスコア,肩関節可動域,単純X線所見を調査した.合併症,再置換術はなかった.最終経過観察時平均JOAスコアは76.1 ± 11.9点,平均屈曲角度は122.1 ± 36.1° ,平均外旋角度は21.3 ± 12.8° とほぼ良好に保たれていた.画像所見ではlooseningは認めなかったが,glenoid wearを75%,骨吸収,骨頭上方化を58%に認めた.腱板再建術を伴う小径人工骨頭置換術は術後10年以上でも良好な肩関節機能が保たれており,高齢者のCTAに対しても有用な治療法と考えられる.