肩関節
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治療法
リバース型人工肩関節全置換術における血液動態についての検討
倉茂 秀星瓜田 淳門間 太輔岩崎 倫政
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2021 年 45 巻 1 号 p. 149-152

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抄録
 リバース型人工肩関節全置換術(以下RSA)の周術期における出血量,血算の経時的変化,輸血の要否についての一定した見解は得られていない.本研究の目的はRSAにおける周術期の出血量,血算の変化および輸血リスク因子を明らかにすることである.2014年11月から2019年10月に当科でRSAを行った53肩に対して周術期の出血量,ヘモグロビン(Hb)値,ヘマトクリット(Hct)値を計測し輸血リスク因子を検討した.術中出血量163 ± 128 ml,術翌日ドレーン出血量285 ± 127 ml,総出血量542 ± 241 mlであった.Hb値,Hct値は,術前12.8 ± 2.4 g/dl,39.1 ± 17.7 %から術後3日目に9.9 ± 1.9 g/dl,30.3 ± 14.5 %まで低下し,以後は回復する傾向にあった.輸血を要したのは5肩であった.術前自動屈曲30°未満,手術時間150分以上,術翌日ドレーン出血量350 ml以上,総出血量800 ml以上が輸血リスクと判定された.自動屈曲不能な症例や手術時間が長い症例,総出血量および術翌日ドレーン出血量が多い症例では輸血の可能性があると示唆された.
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© 2021 日本肩関節学会
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