抄録
棘下筋回転移行術を一次修復不可能な腱板広範囲断裂に施行し,良好な長期成績が得られたので報告する.棘下筋回転移行術を施行した9例,男6例,女3例,手術時平均年齢71歳(66~78歳)で,全例安静時および動作時疼痛があった.4例は偽性麻痺で,術後経過期間は,平均11年5ヵ月であった.
術後,疼痛は8例で消失,1例で軽快した.平均可動域(自動屈曲/外転/外旋)は,術前88°/90°/32°が術後2年159°/169°/31°,術後10年以上で160°/159°/13°,術前の偽性麻痺の症例は全例改善した.術前/術後2年/術後10年以上で,徒手筋力の棘上筋力(MMT)は,1.8 / 4.2/ 3.7と改善した.JOA score(点)は47.8/ 90.4/ 84.9,UCLAスコア(Points)は7.2/ 33.7/ 32.8と術後有意に改善した.AHIは術前/術後1年/術後2年/術後10年以上で,3.6mm /6.2mm /4.8mm/5.2mmと術後1年で有意に改善した.術後MRIで棘下筋腱の縫着部再断裂を認めなかった.
棘下筋回転移行術は,一次修復不可能な腱板広範囲断裂に対し10年以上再断裂を認めず肩関節の機能が保持されていた.