2022 年 46 巻 2 号 p. 500-503
上腕骨近位端粉砕骨折において骨頭壊死発生が危惧される場合,特に高齢患者では人工関節置換術が適応となるが,結節骨片の解剖学的癒合を得ることが良好な成績には重要となる.手術は通常受傷後早期に行われることが多いが,結節骨片の転位が大きくない場合あえて待機し結節の癒合を待って人工関節置換術を行った成績を調査した.3例3肩で人工骨頭置換術が2例,リバース型人工肩関節全置換術を1例に行った.受傷から手術までの待機期間は4~8週間で,術後経過観察において全例で転位や吸収なく結節骨片は癒合した.適応は限られるが,特に脆弱な骨質の高齢患者上腕骨近位端粉砕骨折で人工関節置換を行う必要がある場合,結節骨片の転位状況によっては待機的に行うことも選択肢になると考える.