抄録
当院にてリバース型人工肩関節置換術(RSA)を施行し,術後1年以上経過観察可能であった33肩を対象とし,術後短期成績と術後合併症について調査した.JOAスコアは術前平均30.5点が,最終経過観察時で平均85.0点と有意に改善した.自動前方挙上および外転可動域は術前平均58.1度,52.2度が最終経過観察時平均133.8度,121.8度と有意に改善した.自動下垂位外旋および結帯内旋可動域は術後有意な改善はみられなかった.術後合併症は上腕骨近位端骨折と肩峰疲労骨折をそれぞれ1肩,scapula notchを3肩に認めたが,いずれも臨床的には問題なかった.また神経障害として尺骨神経領域のしびれを1肩に認めた.当院におけるRSAの術後短期成績は合併症を認めたものの,JOAスコア,自動前方挙上および外転可動域は術後有意に改善を認め概ね良好であった.しかしながら回旋可動域の有意な改善は得られなかったことから,今後回旋機能改善のための追加処置や工夫が必要と思われた.