抄録
棘下筋回転移行術後の挙上可動域回復における術前棘上・棘下筋脂肪変性の影響について,術後2年まで経過観察できた16例16肩(男9,女7)で検討した.手術時平均年齢72.4歳(61~85歳),術前global fatty degeneration index(GFDI)3.0 ± 0.5であった.術前MRIから棘上・棘下筋占拠率(SS-R,IS-R),それらの合計値(Total)を算出し,術後3,6,12,24ヵ月における肩関節自動屈曲・外転可動域との関連性を検討した.
全例,術後再断裂を認めなかった.術後3ヵ月でSS-R,IS-R,Totalは屈曲と外転で,術後6ヵ月でIS-RとTotalは屈曲と外転で,術後12ヵ月でIS-RとTotalは外転で有意に正の相関を認めた.残存した棘上筋と回転移行し棘上筋延長部となった棘下筋の合力が,術後早期の屈曲および外転の回復に関与し,術後6ヵ月までに遊離した棘下筋が肩甲骨に癒合し,術後6か月以降は腱板機能回復に関与してくると考えられた.棘下筋回転移行術は,棘上・棘下筋のGoutallier分類 grade 4の広範囲腱板断裂でも適応であると考える.