2025 年 49 巻 1 号 p. 198-201
投球時トップポジションを模擬した3DCTにて鎖骨と第1肋骨が交差し,鎖骨の位置が第1肋骨疲労骨折type2の骨折線に一致する症例を経験した.しかし多くの野球選手に疲労骨折が生じない理由として第1肋骨に可動性があると仮説を立てた.胸郭出口症候群患者52名に対し肩関節下垂位(下垂位)と投球トップポジションを模擬した3DCTを施行し胸椎に対する第1肋骨の傾斜角を調査した.傾斜角の変化は下方傾斜が増加した場合を+,減少した場合をーとした.第1肋骨傾斜角は下垂位72.1°,投球トップポジション61.8°(P<0.001)となり,平均変化量は+10.3°であった.肢位による第1肋骨傾斜角の変化量の最小値-10.8°,最大値+25.7°であった.第1肋骨には肋骨を上方に引き上げ固定する前上肋横突靭帯がほぼ存在しないこと,体幹の動きに伴う胸郭・肋骨の動きなどの複合的要素で第1肋骨が下方に傾斜した可能性がある.