2025 年 49 巻 2 号 p. 544-548
野球に関連する肩関節障害は投球動作で生じることが多く,打撃によるものは少ない.今回我々は,野球の打撃に起因した,押し手側のUPSを経験したため報告する.症例は17歳男性で右投げ右打ちの投手,捕手であった.試合中の打撃で右肩痛を自覚した.前医でのリハビリで改善しないため当院を受診した.初診時の身体所見は肩関節屈曲が100度,外転が100度,いずれも45度から100度にかけて肩関節前方に疼痛を認めた.画像所見では単純X線機能撮影(T-view挙上位)で右肩の挙上不良を認め,肩関節造影MRIでは,明らかな関節唇の損傷は認めなかった.以上の所見からUPSと診断した.鏡視所見で前方関節唇に損傷を認めたため,関節鏡下関節唇修復術を施行した.術後1年で競技へ完全復帰した.長期の保存加療が無効な症例では関節鏡視下に病態を適切に把握し,病変部位を修復することで競技に復帰できる可能性がある.