九州歯科学会雑誌
Online ISSN : 1880-8719
Print ISSN : 0368-6833
ISSN-L : 0368-6833
「口の乾き」と「のどの渇き」
アセチルコリン系の関与を中心とした考察
稲永 清敏 小野 堅太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 64 巻 2 号 p. 38-44

詳細
抄録
唾液は自律神経により制御され唾液腺より分泌される.副交感神経末端から分泌されるアセチルコリンはムスカリ ン受容体を刺激して漿液性唾液を分泌する.我々は,催唾剤として知られているムスカリン受容体アゴニストのピロ カルピンをラットの腹腔内に注入すると唾液分泌を促進するだけでなくのどの渇きの指標となる飲水行動を誘発する ことを観察した. この観察は, ピロカルピンは一方では唾液分泌を促進することで口腔内の湿潤性を高めるが,一方 では「のどの渇き」を誘発し,飲水行動を起こしていること,つまり,口腔内の湿潤性の低下と「のどの渇き」は区 別して考えなければいけないことを示している.行動実験や電気生理学的実験などにより,ピロカルピンやニコチン が脳の口渇中枢の神経細胞のムスカリン受容体やニコチン受容体を介して「のどの渇き」を誘発することが明らかに なった.本稿では,口腔の物理的な湿潤性の低下による「口の乾き」と「のどの渇き」のメカニズムの違いと相関性 について述べた.臨床的には,「口が乾いた」あるいは「のどの渇いた」という状態あるいは感覚が長く続くことが口 腔乾燥症状とされているが,両者の違いを区別して理解することが必要であることを本稿で提言した,
著者関連情報
© 2010 九州歯科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top