抄録
目的:障害者の歯科保健医療は,社会保障制度や経済状況に大きく影響され,これまで十分な対応がされてこなかっ
た.そこで本論文では,知的障害者施設入所者の歯科保健医療の現状を確認して,歯科医療者が今後どのような歯
科支援ができるか検討することを目的とした
方法:海外および日本の障害者歯科分野の成り立ちを概観し,先行研究から障害者の歯科保健医療の実態を確認し,
今後の知的障害者施設入所者の歯科保健の課題を検討した.
結論:知的障害者の歯科保健は,その障害特性により困難が多く,また知的障害者本人による歯科保健には限界があるため,介助者の役割が重要である. しかしながら,施設職員は歯磨き介助の負担感が大きく,十分に行われていないことが明らかになった. したがって,施設職員の負担感を軽減し,適切な歯磨き介助が行えるようにすることが最も重要な課題と考えられる.課題を解決するうえで歯磨き介助を受けている者の生活行動や歯科状況がどのようなものであるか実態を把握して,施設職員の歯磨き介助負担感の要因が何であるかを明らかにし,それらを踏まえて施設職員に対する効果的な支援方策を検討する必要がある.