抄録
[目的】アクチバトール(FKO) は早期治療装置として幅広く使用されている.FKOが矯正力を最大限に発揮するためには,適正な時間使用してもらうことが必要である.しかし,FKOが可撤式矯正装置であるため,歯科医師が期待する使用時間をなかなか患者に守ってもらえず治療の成果が思うようにあがらない事も多い.私たちはこの原因の一つとして,FKOを装着することにより呼吸量が減少し,それが患者さんを不快にし,結果として装置の使用時間が短くなっているのではないかと考えた.そこで今回,我々はFKO装着時の呼吸量がどのように変化するのか調べた.また,口呼吸患者に通常使用されている有孔FKOの効果についても検討を行ったので報告する.
【方法】被験者は,成人6名である.通法どおりFKOを製作した.最初に通常のFKO(無孔)で計測し,その後,同装置の前面に孔を開け(有孔)計測を行った.計測は,①FKO未装着の自由呼吸(NF)②FKO未装着の実験的鼻呼吸(NN)③FKO未装着の実験的口呼吸(NM)④無孔FKO装着時の自由呼吸(FF)⑤無孔FKO装着時の実験的鼻呼吸(FN)⑥無孔FKO装着時の実験的口呼吸(FM)⑦有孔FKO装着時の自由呼吸(FHF)⑧有孔FKO装着時の鼻呼吸(FHN)⑨有孔FKO装着時の口呼吸(FHM)の9種類について行った.
【結果】FMとNF, NN, NM, FF, FN, FHF, FHNには1%の危険率で統計的有意差が見られたが,FHMとの間には,有意差は見られなかった.FMとFHMを比較したところFHMの方がCO2濃度が増加する傾向にあったFHMは,NF, NN, NM, FFおよびFNと5%の危険率で有意差が見られ,ややCO2濃度が減少していた
【考察および結論】①正常な鼻呼吸であればFKO装着は呼吸にほとんど影響を及ぽさない.②口呼吸が主体の患者は,FKO装着は何らかの対策が必要である.③口呼吸患者のFKO装着時の呼吸量の減少に対して,FKOに孔を開けることは有効であると思われるが,従来の方法では不十分であり,今後検討の余地があると思われる.