抄録
北九州八幡東病院は近隣の急性期病院と連携し、医学管理のもと療養が必要な方々に日
常生活の介助、医療や看護、機能訓練などを提供する八幡東区では最も病床数が多い480
床の療養型医療施設である。
入院病棟は医療病棟308床および介護療養病棟172床からなる。医療病棟は、重度の肢体
不自由者、脊髄損傷などの重度障害者、重度意識障害者、神経難病患者、気管切開、吸引、
酸素、IVH・点滴の必要な方が対象となる医療療養病棟220床、障害者病棟101床、脳血管・
脊髄損傷や大腿骨、骨盤、脊椎、股関節、膝関節の骨折・損傷後や手術後の回復期リハビ
リテーション病棟47床からなり、介護療養病棟は要介護度4~5および短期入院の場合は
要介護度1~3を対象とした介護保険適応である。
当院における歯科的介入については、地域歯科医師会、九州歯科大学との医科歯科連携
のもと新規入院時に歯科衛生士が口腔機能アセスメントを行い、入院中の口腔管理、歯科
受診のコーディネートを担当している。退院後の支援としては、多職種が連携して、かか
りつけ歯科医師へ情報提供可能な地域歯科医療連携体制を整えている。
歯科訪問診療として参画する歯科医師および歯科衛生士は、医科歯科連携を背景に、患
者様に関わるチーム医療の一員として、病院内の医師、看護師、介護士、言語療法士など
の職員や患者様のご家族に対して、食事や口腔機能に関する歯科的な診断、歯科治療計画
だけでなく、入院中の口腔ケアに関する助言などの情報提供の役割がある。一方、病院内
に勤務する歯科衛生士は、往診歯科医師との情報の共有を元に各病棟への日常的な口腔管
理に対する助言指導を行なう立場にあるといえる。
今回は、当院の医療療養型病棟における口腔管理システムの運営と歯科医療連携による
歯科的介入の症例を通して、現状の問題点や今後の課題について報告させていただきたい。