九州歯科学会雑誌
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咀嚼嚥下に対する加齢の影響
藤井    航
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2015 年 69 巻 4 号 p. 103-107

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抄録
嚥下造影(VF)を用いて健常者において加齢が咀嚼嚥下に及ぼす影響について検討を行った.固形物において,咀嚼時間と回数は加齢と共に増加する.咀嚼回数と加齢が食塊咽頭進行に影響しており,固形物では嚥下前食塊咽頭進行が加齢と共に変化する.高齢者において,食塊が嚥下反射開始前に喉頭蓋を超えて容易に咽頭にまで進行することは,咽頭の感覚が低下し嚥下反射の閾値が上昇したためであると考えられる.早期の食塊咽頭進行と喉頭の感覚低下が関連して,高齢者において咀嚼中に不顕性誤嚥が起こる可能性が示唆される.
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© 2015 九州歯科学会
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