九州歯科学会雑誌
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表面処置の違いによるインプラントアバットメントスクリューの プレロード値の比較
楊    宗翰莊    凱任鱒見  進一林    鴻吾
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2016 年 70 巻 1 号 p. 11-19

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抄録
歯科用インプラントのアバットメントスクリューは緩むことがあり,この緩みは,いくつかの技術を適用することによって防止することができる.1つの方法は,プレロードを増加することである.もう一つの簡単な方法は,スクリューの設計や材料を変えることなく,表面処置を行いスクリューの摩擦係数を減少することである.本研究の目的は,TiNおよびTiAlCrNにより表面処置したアバットメントスクリューと,表面処置していないアバットメントスクリューにおけるプレロードに対する影響を評価することである.  グレード4チタン製歯科用インプラント30個を機械加工して製作し,プラスチック容器内に固定した.さらに,30本のアバットメントスクリューをグレード5チタン合金で機械加工して製作し,グループA(表面処理なし,コントロール),グループB(TiN表面処理),グループC(TiAlCrN表面処理)の3群に分け,トルク測定機を用いてトルク,リトルクおよびアントルクの値を記録した.3群間におけるプレトルクの比較検討を行ったところ,グループCのプレトルクは,グループAおよびグループBより有意に大であることがわかった.これらの結果より,アバットメントスクリューに対するTiAlCrNによる表面処理が,スクリューの緩みやこれに関連する問題の発生率を減少させるために,日常臨床において非常に有用であることが示唆された.
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© 2016 九州歯科学会
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