抄録
顎変形症患者における外科的矯正治療は,正貌,側貌を含めた審美性,上下顎骨の前後的,垂直的,水平的不調和による骨格性咬合不正と,機能的障害を改善する目的で行われる.外科的矯正治療の評価をする上で,外科的矯正治療後における顎態の術後安定性を把握することは重要である.本稿では,顎変形症の手術の内,上顎骨の形態異常に対する骨切り術および上下顎移動術の術式ごとの術後安定性について文献を基に調査した.
1 単一歯歯槽骨切り術,および上顎前歯部歯槽骨切り術の術後安定性は良好であるが,上顎臼歯部歯槽骨骨切り術の術後安定性が低かった.
2 Le Fort Ⅰ骨切り術と下顎枝矢状分割法および下顎枝垂直骨切り術の上下顎移動術の術後安定性について,上下顎骨の前後的位置およびoverjetは安定しているが,上下顎骨の垂直的位置およびoverbiteは多様な変化があり,初診時の顎態の状態に依存することが考えられた.
3 上顎骨延長法の術後安定性は,術後6か月~1年までに後戻りを認め,それ以降は変化がなく安定する傾向にあった.