九州歯科学会雑誌
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第81回九州歯科学会総会・学術大会(2022)シンポジウム「歯科臨床における最新の知見」:骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の治療の考え方と対応
吉賀 大午
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2022 年 76 巻 p. s7

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抄録
2003年にビスホスホネート関連顎骨壊死が最初に報告されてから、早18年が経過した。 2010年にわが国の5学会の顎骨壊死検討委員会からポジションペーパー(PP)が出され、 2016年にPPが改定されたが、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)の治療法は依然として 議論の余地があり、ガイドラインはまだなく確立された治療法は存在していない。われわ れはPPに従いARONJの治療を行なってきた。われわれの治療法選択における基本的な考 え方として、生体の治癒力が期待できる場合は保存療法を行い、生体の治癒力が期待でき ない場合は外科療法を検討することにしている。そのため、いわゆる腐骨除去は局所洗浄 を行いやすくし、生体の治癒力を補助するという考えから外科的手法を用いた保存療法(外 科的保存療法/conservative surgery)としている。  また局所洗浄を行いやすくするための歯肉弁切除も同じ考え方から外科的保存療法とし ており、基本的には保存療法の一部として考え、これらの処置は局所麻酔下で行っている。 また、当院では2011年より保存療法の補助療法として、投与可能な患者に対しては医科と 連携してテリパラチド投与を積極的に取り入れており良好な治療成績を得ている。  一方で保存療法を行っても病態がコントロールできない症例がある事も事実である。わ れわれは、保存療法に対して難治性の症例や癌治療のため早期に骨吸収抑制薬を再開した い症例に対して、積極的に外科療法を行ってきた。外科療法は、基本的には全身麻酔下に 病的骨の完全除去を目的とし、一部健常な骨を含めたextensive surgeryに分類される治療 と考えている。病的骨を完全除去するため、基本的に創は死腔を減じた閉鎖創としている。 しかしながら、外科療法の際に問題となるのが、病的骨の切除範囲の決定である。どこま で骨を切除するべきかの判断が難しい場合がある。出血するところまで骨を削除すると記 載されている物の本もあるが、われわれは蛍光観察装置を用いた骨蛍光標識法を応用して、 顎骨の切除範囲を決定する補助的手段とし、良好な治療成績を得ている。  本シンポジウムでは、現在われわれが行っているARONJの保存療法および外科療法につ いてご紹介したい。
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