九州歯科学会雑誌
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第81回九州歯科学会総会・学術大会(2022)シンポジウム「歯科臨床における最新の知見」:小児の口腔機能評価と管理~早食い・丸呑みの早期発見と対応~
藤田 優子
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2022 年 76 巻 p. s8

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抄録
2018年度の診療報酬改定により、口腔機能管理の評価に対する新たな疾患名として口腔 機能発達不全症および口腔機能低下症が新設され、口腔機能管理料100点が算定可能となっ た。以降、口腔機能に関する研究が盛んに行われ、臨床の場においても口腔機能発達不全 症および口腔機能低下症の診査、治療が盛んに行われることとなった。しかし、小児の口 腔機能発達不全症の診査項目は、「咀嚼時間が長すぎる、短すぎる」など保護者への問診 や視診など、主治医の裁量によるものが多く、客観的評価基準がないという課題を残した ままである。さらに、各成長段階に対応した評価基準も確立されていないため、早急な大 規模データの収集と分析が求められる。  加齢による口腔機能の変化をイメージするよう言われたら、多くの人は新生児期から成 人期にかけて成長し、成人期にピークを迎えた後、加齢とともに衰退していく曲線を描く であろう。しかし、実際のところ個々の機能が加齢によってどのような変化を遂げるかに ついては客観的評価によるデータが少なく、あまり知られてはいない。少なくとも口腔機 能の発達が遅れている場合、あるいは停滞している場合は早期に歯科医師が介入し、正常 な段階へと引き上げる必要があり、高齢者の口腔機能低下についても機能の向上、あるい は維持を目的とした歯科医療の介入が必要である。そこで私たちは、幼児期から老年期に かけて、咀嚼機能をはじめとする様々な口腔機能の客観的評価を行い、加齢による推移を 明らかにしたので、本日ご紹介する予定である。  さらに私たちは、咀嚼機能のなかでも特に嚥下閾値に着目して臨床研究を行ってきた。 その過程で、成長期の適正な嚥下閾値の獲得の有無が、成人期以降の嚥下閾値に影響を及 ぼす可能性があることを明らかにした。小児期、特に幼児期の早食い・丸呑みは、窒息・ 誤嚥のリスクにもなるため、歯科医療従事者は、多角的な視点から早食い・丸呑みのリス クが高い小児を早期に発見し、適切な咀嚼機能を獲得できるよう支援していかなければな らない。本日は、これまでの研究結果を踏まえて、成長期の早食い・丸呑み習慣を持つ子 どもに対する歯科医療従事者の対応法について考察したいと思う。本シンポジウムを通し て多くの方々に小児の口腔機能の発達や評価法に関して少しでも興味を持っていただけれ ば幸いである。
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