2008 年 6 巻 2 号 p. 135-141
人体解剖実習は、コ・メディカル教育においても重要かっニーズが高いにも関わらず、法制度上の制約、医学部解剖学講座の負担、養成校の急増などの諸問題から、その実施状況は不十分である。愛知医科大学解剖セミナーでは、コ・メディカル教育における人体解剖実習を補うため、養成校教員自身が解剖学教育の質的水準向上に努めることも重要であると考え、『解剖画像教材』を開発し、その共有化を目指している。今回、『同教材』を用いて授業を行い、その有効性について検討した。『解剖画像教材』は複数の養成校教員と臨床実習指導者自らが協力し、“臨床的かっ専門教育的視点”から撮影角度や剖出方法を工夫して開発している。今回の授業においては『同教材』をProblem Based Learningのシナリオとして利用した。その結果『同教材』を用いた授業ではイメージ化の促進、知識の応用力の向上、新たな思考過程の構築といった直接的効果と、新たな学習方法の気づき、モチベーションの向上といった間接的効果が得られた。したがって『解剖画像教材』は、コ・メディカル教育における解剖学教育の質的水準の向上に有用であると考えられた。