経済分析
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Print ISSN : 0453-4727
デジタルエコノミーをどのように把握するか?~新たな試みと課題~
長谷川 秀司
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2023 年 207 巻 p. 250-281

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抄録

国民経済計算体系(SNA)において経済のデジタル化を的確に反映するための議論が活発化しており、その一環として経済協力開発機構(OECD)よりデジタル経済の把握に適した産業、生産物及び取引の分類を設定した「デジタルエコノミーに係る供給・使用表(デジタルSUT)」の中でデジタルの経済活動を包括的に測定するための概念的枠組み‐「ガイドライン」‐が提示された。既に試行に取り組んでいる各国同様、「ガイドライン」に可能な限り則しつつ日本のデジタルSUTの試算を行った(対象年は2015年及び2018年)。また、インターネット上で提供されるソーシャルメディアや検索サービス等の無償デジタルサービスはSNAの生産境界外であるが消費者の厚生に大きな影響を与えている。その価値の測定に関して推計手法やSNA上の概念的枠組みの研究が進展しており、主要な成果について概説する。現在2008SNAは改定作業が行われているが、デジタルエコノミーの最重要の資源であるデータは資産計上が見込まれ、その測定・評価はGDP等集計値に大きな影響を与えることになる。

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© 2023 内閣府経済社会総合研究所
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