抄録
〔目的〕結核ハイリスク群と考えられる当院職員に対しQuantiFERONO®TB-2G(以下QFT)を施行し,その結果から当院の結核感染対策を評価した。〔方法〕結核ハイリスク群と考えられる当院職員40名に対しQFTを施行した。結核病棟勤務の医師(以下D群),結核病棟勤務看護師(以下N群),およびその他のハイリスク群(以下O群)の3群に分類し,各群におけるQFTからみた結核感染率や二段階ツベルクリン反応等との関連について検討した。〔結果〕対象職員におけるQFT陽性率は4/40(10.0%)で,判定保留を含む感染率は6/40(15.0%)と高率であった。N群での感染率は0%であったが,D群および0群では感染率がそれぞれ27.3%,20.0%と高率であった。しかし当院の感染防止マニュアル施行後に採用されたすべての対象職員においてQFTは陰性であった。〔考案〕当院の結核ハイリスク群におけるQFTから求めた結核感染率は高率であったが,感染防止マニュアルを施行後に採用されたハイリスク群では全員QFT陰性であり感染防止マニュアルが有用であった。〔結論〕感染防止マニュアル施行後に採用されたハイリスク群にはQFTから判定した感染はなかったと考えられる。