〔目的〕胸部CT,気管支ファイバ一スコピーなどの現在の診断技術を用いて,エピツベルクロ一シスの病因について再検討した。〔対象と方法〕エピツベルクローシスを生じた結核乳児14例,幼児5例,計19例について胃液結核菌検査,胸部単純X線検査にCT検査と気管支ファイバースコピー検査を加えて評価を行った。〔結果〕エピツベルクローシス発見時の年齢は,19例中12例(63%)が0歳児であった。結核治療開始前とは別の肺葉に治療開始後に生じた1例を含め,19例中13例においてエピッベルクローシスは治療開始後に生じた。19例全例に気管支起始部周辺を圧迫する縦隔・肺門リンパ節腫大が認められ,16例(84%)において該当する肺葉に浸潤影を伴っていた。16例に行われた気管支ファイバースコピー検査において,13例(81%)の該当気管支壁に腫瘤を認めた。〔結論〕従来の報告と異なり,絶対径の狭い,脆弱な気道を有する0歳児がエピツベルクロ一シスを最も生じやすいことが明らかになった。また,エピツベルクローシスは縦隔・肺門リンパ節病巣と初期悪化による病巣拡大がもたらす気管支壁圧迫,そしてリンパ節穿孔が形成した気管支壁腫瘤による気管支腔閉塞に伴う無気肺影であると考えられた。
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