抄録
現行の学習指導要領の柱である「知識・技能」の習得、「思考力・判断力・表現力等」の育成、「学びに向かう力、人間性等」の涵養は、国際バカロレア(IB)の目指す学習者像とも重なり、IB の教育手法は学習指導要領の具現化につながるのではないか。例えば高次的思考力(Higher Order Thinking Skills: HOTS)を問うことで具体から抽象の思考へと向かわせることが期待できる。
本稿では、高校生英語学習者を対象に HOTS のトピックを含むエッセイライティングを課した。調査は埼玉県の国際系公立高等学校の 1 学年より普通科 230 名と外国語科 79 名の合計 309 名を対象に、相対的な HOTS 性の高さが確認できる TOEFL テストの作成元である ETS による LMS(Learning Management System)である Criterion を活用してエッセイライティングの採点結果を分析した。
その結果、普通科と外国語科間における取得スコアの差異に統計的な有意差が確認された一方で、標準偏差の大きさや最低点最高点の差異から、普通科に比べて外国語科の方がばらつきが大きいことが示された。また語数の比較においては、外国語科の方が平均値も最多語の数値も高いが、普通科と比べて中央値との差が大きかったのは一部の生徒の語数が極端に多いことが要因であった。テキストマイニングツールを用いた分析、3名の生徒のエッセイ事例の分析からも高校生英語学習者の HOTS のトピックに対する英語表現力の実態が垣間見えた。
先行研究でも示されている通り、文部科学省検定済教科書には HOTS を促す問いかけや課題が少ないため、教室や普段の授業で HOTS を高めるには工夫が必要である。
本稿の内容は高校生英語学習者の HOTS に対する英語表現力の現状把握にとどまっている。今後、授業や教材に HOTS を促す問いかけやライティングを盛り込み、事後調査として HOTS に対する英語表現力の変化を分析する予定である。