抄録
本稿では、東京にある大学美術館:慶應義塾ミュージアム・コモンズ(KeMCo)において、学生中心型アプローチを用いてデジタル・パブリック・ヒューマニティーズを実践した過程および結果を記す。具体的には、KeMCoMプロジェクトで展開しているデジタル・エンゲージメントや展覧会のデザイン、ワークショップのファシリテーション活動をはじめ、詳細なケース・スタディを通じて学生中心型アプローチの有用性について議論し、パブリック・エンゲージメントを推進するうえで、学生が重要な役割を果たすことを示していく。本研究は、KeMCoの立ち上げから2年半(2021-2023年度上半期)にわたる実践・経験に焦点を当て、多様なステークホルダー(実践者や参加者)の知見も交えて考察を重ねていくことで、学生と協働して大学美術館をデザインすることの重要性を提起し、これからの時代における大学美術館の在り方を展望する。