2013 年 48 巻 2 号 p. 78-83
近年電子線トモグラフィーにより細胞内構造の可視化が急速に進展している一方で,細胞内蛋白質構造のような微細構造の解析は未だ難しい.主な原因は,1:細胞内構造のS/Nの悪さ,2:ミッシングエッジやミッシングピラミッドなどの,データが存在しない逆空間領域の取り扱いの二つである.筆者らは,細胞の中で膜構造に次いで顕著な構造物である線維状蛋白質構造,特にアクチンフィラメント網構造の解析に的を絞り,共同研究者のJohn Victor Smallらが1の問題を負染色法によって部分的に解決,筆者らが2の問題を回避する方策を考案することによって,ある程度有用な細胞内構造解析技術を構築することができた.本項ではその技術を概説する.