2024 年 90 巻 3 号 p. 91-107
目的:パラオ共和国の高齢者を対象に,生活の質(QOL)と,健康状態,健康・食習慣,食環境,心理的側面,対人接触度との関連性について検討することで,パラオ共和国における高齢者栄養ケアサービス構築のための基礎資料とすることを目的とした.
方法:パラオ共和国コロールのデイケアサービスセンター(Senior Citizen Center)に通う,55歳以上の男女62名(平均年齢:76歳)を調査対象者とした.健康・食習慣,食環境,心理的側面,対人接触度,およびWHOQOL-BREFに関して質問紙調査を実施し,分析対象者は58名となった.そのうち42名については,センターにおいて身体計測と体力測定も実施し,16名の分析対象者については家庭訪問により質問紙調査を実施した.調査の実施時期は2017年8月であった.
結果:WHOの基準に基づくBMI(Body Mass Index)指数による肥満判定で,分析対象者の81%が,太りぎみまたは肥満(1度)であった.さらに,対象者の平均収縮血圧は,高血圧の領域であった.しかしながら,対象者の多くは良い健康習慣や食習慣を実践し,食生活の満足度も高く,家族との共食割合も高かった.家族が1番の相談相手で,最も大切なものであり,対象者の32%は,ほぼ毎日子どもと会っていた.ただし,相談することがない,相談相手がいないと答えた対象者もいた.WHOQOL-BREFの総得点は3.7点(4点満点)と高かったが,身体的領域は,他と比較して低い点数(3.6点)であった.ロジステック回帰解析によると,WHOQOL-BREFに最も影響する要因は,家族との共食であった.
結論:パラオの文化的背景を考慮した高齢者向けの健康・栄養教育プログラムが必要であり,高齢者栄養ケアサービスに本研究が寄与することが期待される.