日本健康教育学会誌
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総説
更年期女性に対する健康教育に関する過去10年間の文献検討
宮内 清子佐久間 夕美子佐藤 千史
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キーワード: 更年期女性, 健康教育
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2009 年 17 巻 1 号 p. 3-13

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抄録

目的:本研究の目的は,一般の更年期女性に対する健康教育について文献検討をもとに,健康教育の課題を検討することである.
方法:1997年から2007年の約10年間で,海外文献は教育学文献データベースERICおよび医学文献データベースPubMedを,国内文献は国立情報研究所におけるGeNii・CiNii,および医学中央雑誌を用いた.そして「更年期女性」「中高年女性」と「教育」で検索し,海外文献検索にも同様のキーワードを用いた.さらに介入研究のうち,患者や受診者を対象とした研究,治療目的の研究を除外し,一般の更年期女性に対する介入研究を抽出した.
結果:海外では19件抽出され,肥満対策の低脂肪食や骨粗しょう症対策などの食事指導,骨密度や筋力,更年期症状に注目した運動指導,更年期以降の健康増進に関する情報提供があった.国内では8件であり,温泉療法や食事指導など組み合わせた運動を中心とした教育的介入があった.更年期症状への対処方法などを含む複合的な情報提供は,行動変容や更年期の肯定的な認識などに対して効果的なヘルスサポートであった.そして,パソコンや文書指導など時と場所を調整可能な方法を採用することは,健康行動について自ら決定する満足感をもたらし,知識を増すことが示唆された.
結論:一般の更年期女性に対する健康教育の課題は,セルフケア能力の向上を目標に,健康問題対策としての運動や食事指導および更年期症状を含む複合的な情報の提供が,時と場所など調整可能な方法を用いて実施されるようなプログラムを検討することである.

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© 2009 日本健康教育学会
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