日本健康教育学会誌
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17 巻, 1 号
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巻頭言
総説
  • 宮内 清子, 佐久間 夕美子, 佐藤 千史
    2009 年 17 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    目的:本研究の目的は,一般の更年期女性に対する健康教育について文献検討をもとに,健康教育の課題を検討することである.
    方法:1997年から2007年の約10年間で,海外文献は教育学文献データベースERICおよび医学文献データベースPubMedを,国内文献は国立情報研究所におけるGeNii・CiNii,および医学中央雑誌を用いた.そして「更年期女性」「中高年女性」と「教育」で検索し,海外文献検索にも同様のキーワードを用いた.さらに介入研究のうち,患者や受診者を対象とした研究,治療目的の研究を除外し,一般の更年期女性に対する介入研究を抽出した.
    結果:海外では19件抽出され,肥満対策の低脂肪食や骨粗しょう症対策などの食事指導,骨密度や筋力,更年期症状に注目した運動指導,更年期以降の健康増進に関する情報提供があった.国内では8件であり,温泉療法や食事指導など組み合わせた運動を中心とした教育的介入があった.更年期症状への対処方法などを含む複合的な情報提供は,行動変容や更年期の肯定的な認識などに対して効果的なヘルスサポートであった.そして,パソコンや文書指導など時と場所を調整可能な方法を採用することは,健康行動について自ら決定する満足感をもたらし,知識を増すことが示唆された.
    結論:一般の更年期女性に対する健康教育の課題は,セルフケア能力の向上を目標に,健康問題対策としての運動や食事指導および更年期症状を含む複合的な情報の提供が,時と場所など調整可能な方法を用いて実施されるようなプログラムを検討することである.
資料
  • 小西 史子, 孫 琳琳, 木村 靖夫
    2009 年 17 巻 1 号 p. 14-23
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    目的:高齢者の身体状況,体力,生活習慣,食生活状況,主観的健康感,生活満足度の実態とそれらの関連を調べ,生活満足度に関わる因子を明らかにすることを目的とした.
    方法:佐賀県の高齢者(男性91人,女性149人)を対象に,アンケート調査を行った.調査項目は下半身の痛み,体力,飲酒習慣,食習慣,主観的健康感および生活満足度であり,それらの関連を一元配置分散分析で調べた.生活満足度に関わる因子を明らかにするために,ロジスティック分析を用いた.
    結果:女性の体力は男性に比べて有意に低かった.約50%の高齢者が下半身に痛みを抱えており,痛みがある人ほど主観的健康感は低かった.また体力が平均以上の人は平均以下の人に比べ,主観的健康感が有意に高かった.後期高齢者の食生活状況は前期高齢者のそれより有意に良好であった.また,食生活状況が平均以上の人は平均以下の人に比べ,有意に生活満足度が高かった.ロジスティック回帰分析の結果,生活満足度は主観的健康感{オッズ比1.66(95%信頼区間1.03―2.70)},飲酒習慣{オッズ比3,586(95%信頼区間1.29―9.80)}と関連を示した.
    結論:生活満足度には主観的健康感と飲酒習慣が関連すること明らかになった.
  • ―「もったいない」と思う気持ちと野菜摂取について―
    谷口 貴穂, 赤松 利恵
    2009 年 17 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    目的:「もったいない」と思う気持ち(食べ物を捨てるときに感じる気持ち)を食事摂取に関わる要因として加え,食べ残しの行動の予測要因を検討すること.
    方法:都内の公立小学校の5・6年生の児童2,070人を対象に,自記式の質問紙に基づく横断調査を実施した.食べ残しの行動の予測要因として,「もったいない」と思う気持ちと,食べ残しの多い野菜摂取に関わる要因(嗜好,結果期待,学校菜園活動,家庭のしつけ)や,野菜を食べる頻度と食べ残しの行動との関連を調べた.性別で野菜摂取に関わる要因が異なることから,男女別で食べ残しの行動の予測要因を検討した.
    結果:1,994人から回答を得た.女子よりも男子の方が食べ残しの行動をしないと回答した.食べ残しの行動の予測要因は男女で異なったが,食べ残しの行動に最も影響を与えていたのは,男女とも野菜の嗜好で,次が「もったいない」と思う気持ちであった.
    結論:「もったいない」と思う気持ちは,食べ残しの予測要因となり,2番目に強く食べ残しの行動に影響を与えていた.食べ残しの行動に最も影響を与えていたのは,野菜の嗜好であった,これらのことから,「もったいない」と思う気持ちを育てること,野菜の嗜好を変えることにより,食べ残しが減ると考えられた.
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