日本健康教育学会誌
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原著
後期高齢者における外出能力を規定する身体的・社会的・精神的健康要因の因果構造分析
井上 直子星 旦二
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2011 年 19 巻 1 号 p. 36-47

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抄録
目的:地域高齢者における身体・社会・精神的健康三要因と「閉じこもり」や「外出頻度」を反映する「外出能力」について,構造的にみた因果関係を明らかにすることである.
方法:地域在住後期高齢者に対する郵送自記式調査による縦断研究である.要介護認定を受けていない75歳~79歳の2,941人を対象とし,2,430人(回収率82.6%)を基礎調査とした.3年後の2009年に追跡調査を行い,両調査に回答した1,758人を分析対象とし,共分散構造分析を行った.
結果:探索的因子分析の結果より,「歩行筋力」「転倒リスク」「閉じこもり度」「外出頻度」と関連する潜在変数を『外出能力』(『』は潜在変数)と命名した.『外出能力』は,『精神的健康度』から直接的に規定され,『社会的健康度』は,『精神的健康度』から規定されるとともに『身体的健康度』を規定していた.『外出能力』は女性では『身体的健康度』から統計学的に有意に規定されたものの,男性は統計学的に有意差はみられずに,『精神的健康度』から強く規定されることが示された.
結論:『外出能力』を規定する身体・社会・精神的要因との総合的な因果関係を構造的に分析すると,『外出能力』は,男女ともに『精神的健康度』が基盤となる可能性が示唆された.3年後の『外出能力』を規定するのは,男性では,『精神的要因』であり,女性は『身体的要因』であることが示唆された.
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© 2011 日本健康教育学会
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