日本健康教育学会誌
Online ISSN : 1884-5053
Print ISSN : 1340-2560
ISSN-L : 1340-2560
総説
地域ヘルスプロモーションにおけるHealth Impact Assessmentの形成
春山 康夫
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 19 巻 1 号 p. 77-82

詳細
抄録

本研究では,Health Impact Assessment(HIA)に関する概念,方法,内容,及び現状をレビューし,わが国の地域ヘルスプロモーションへの応用の可能性について検討することを目的とした.欧米ではHIAが取り入れられつつあり,これまでに報告されている151事例のうちその4割が健康都市に関する総合政策に用いられていた. 第20回IUHPE世界会議のワークショップでは, イギリス,スイス,カナダ及びオーストラリアのプレゼンテーターがHIAに関する内容を報告した.HIAは,地域ヘルスプロモーションのマルチレベルのツールとして,健康政策決定者への支援,健康格差への取組み,関係部門の連携,市民の参加などに積極的に関与していた.その一方,わが国の地域ヘルスプロモーションにおいてはHIAの活用に関する報告は殆ど無かった.
わが国でより効率的効果的な健康政策を形成していくためには,国と地域においてHIAを用いることが重要な方法の1つである.地域で第一線の保健専門職は,政策決定者,専門家,住民の中心的位置にいることで,イニシアチブをとることが期待される.まずはHIAの基本的な手順と手法に従い日本の文化にあった具体的な方法をつくりあげ,実践的に活用することが大切であり,それによってHIAの実例を増やしていくことが重要である.

著者関連情報
© 2011 日本健康教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top