抄録
目的:社会的認知理論を活用した幼児の偏食に関する教材を開発した.本稿では,本教材の紹介とそれを用いた実践のプロセス評価を報告する.
方法:2011年5月から7月,都内幼稚園3園の園児,児童館2館の幼児クラブに通う子どもとその保護者を対象にパネルシアターを実践し,プロセス評価を行った.パネルシアターのテーマは,「苦手な食べ物にチャレンジしよう!」とした.まず,親子を対象にパネルシアターを実施し,その後,保護者を対象にパネルシアターの内容を社会的認知理論に基づいて解説した.パネルシアターが終了後,その場で無記名自記式質問紙によるプロセス評価を実施した.
結果:計135名の保護者がパネルシアターの鑑賞会に参加した.プロセス評価の結果,ほとんどの者が内容に興味深かった(97.0%),わかりやすかった(96.3%)と回答した.また,自由記述において,幼稚園の保護者では,偏食のプレッシャーが軽減したなど,教材に対する肯定的なコメントが得られた.また,行動技法に関しては,モデリングを取り入れたいというコメントが幼稚園の保護者で多かった.一方,児童館では,対象の子どもの年齢が2歳前後であったことから,集中力の維持が難しいという意見があった.
結論:パネルシアター会参加者を対象に教材を用いた実践のプロセス評価を行った結果,教材に対して一定の評価が得られた.また,幼稚園の保護者から,偏食のプレッシャーが軽減されたという感想が寄せられ,教材として活用できる可能性が示唆された.