日本健康教育学会誌
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特別報告
身体活動を促進するための国家政策の監査とトロント憲章
種田 行男井上 茂武田 典子
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2013 年 21 巻 2 号 p. 165-170

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抄録

背景:生涯を通じて身体活動を促進することは,我が国の重要な保健政策のひとつである.
内容:身体活動の促進を目的とした国家政策を監査するためのツールであるPolicy Audit Tool(PAT)が2011年に開発された.PATを用いた監査はその実施過程において,身体活動による健康増進に興味を持つさまざまな分野の省庁や組織の連携を強めることができる.また,多分野や組織間のコミュニケーションを高め,それぞれの計画や行動を戦略的に統合させるための触媒のような働きを持つ.
2010年5月カナダ・トロントで開催された第3回国際身体活動公衆衛生会議(International Congress of Physical Activity and Public Health)において,「身体活動のトロント憲章:世界規模での行動の呼びかけ」が採択された.トロント憲章は行動の呼びかけであると同時に,すべての人々が活動的なライフスタイルを送ることができる機会を作り出すための支援ツールである.
結論:PATおよびトロント憲章は身体活動促進のための国家政策と行動計画の策定,およびその実施を支援するためのツールと考えられる.健康日本21(第2次)の地方計画の策定に際して,これら2つのツールが我が国の健康教育関連の研究者,実践者および政策決定者に有効に活用されることが期待される.

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© 2013 日本健康教育学会
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