日本調理科学会大会研究発表要旨集
平成21年度日本調理科学会大会
セッションID: 1E-a1
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口頭発表
大学生の入学時における食意識と調理技術の実態
*園田 純子小野 舞佳杉原 恵
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抄録


【目的】近年、大学生の食生活の乱れ、食に対する意識の低下が危惧されているが、この原因として、食事を整える上で料理を作りたくても調理技術が伴わない現状があるのではないかと考えられる。そこで、大学入学時における食意識及び調理技術の知識、技能の実態を調査し、大学入学前教育との関連をあわせて検討した。
【方法】山口県立大学栄養学科1年生を対象に、入学時における食意識・調理歴、及び調理用語に関するアンケートを実施した。切り方の実態調査は5月(調査終了後個別に切り方の助言と練習を指示)と10月の計2回行った。また、調査に用いた切り方について、対象者が使用した小・中学校家庭科教科書(開隆堂・東京書籍)での扱いを調べた。
【結果】入学時の食意識に関しては、食に対する改善意欲はあるが、経済性、楽しみ、栄養管理に重点を置いているとの回答が多く、調理技術に対する意識は低い傾向にあった。調査に取り上げた短冊切り、せん切り、いちょう切りはすべて中学校までの教科書に掲載されており、理解していると答えた人はいずれも8割をこえていたが、手順通り正しい形状にできたのはそれぞれ12%、33%、71%と、実際には正しくできていない学生がかなりみられた。きゅうりの小口切りは、1回目の調査と2回目の調査では平均点が29.2点から51.0点と上昇し、体験的な学習が効果的であることが示唆された。切り方の自己評価の認識が必ずしも技能の獲得と一致していないことからも、大学生の前段階である小・中・高等学校の家庭科で知識と共に実技指導をより充実させること、また家庭や地域で調理を体験する機会を積極的に設けることが、今後の大学生の調理技術および食意識の向上につながると期待される。

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© 2009日本調理科学会
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