2017 年 25 巻 2 号 p. 85-92
目的:政府統計データを用いて,日本の都道府県レベルの野菜栽培状況と都道府県住民の野菜摂取量との関係を記述すること.
方法:研究デザインは地域相関研究とした.平成24年国民健康・栄養調査における性・都道府県別野菜摂取量の平均値と,平成24年作況調査における都道府県別品目別収穫量および出荷量から作成した指標との関連について,Spearmanの相関係数を用いた分析を行った.さらに,男女別に野菜摂取量平均値と作成した指標との散布図を作成した.
結果:「野菜収穫量/人口」,「野菜出荷量/人口」と「野菜摂取量の平均値」との間では,有意な相関は確認されなかった.「(野菜収穫量-野菜出荷量)/人口」と男女の「野菜摂取量の平均値」との間では,有意な正の相関が確認された(男性:rs=0.37,p=0.011;女性:rs=0.45,p=0.002).散布図からは,有意な相関が認められた機序などが特定された.
考察:人口当たりの収穫したうち出荷しない野菜の量が多い地域ほど,地域住民の平均野菜摂取量が多いことが示唆された.今後,収穫したうち出荷しない野菜の量に注目し,さらに詳細に調査する必要がある.