2018 年 26 巻 3 号 p. 231-237
目的:実施者が評価する子ども食堂の効果を質的に検討する.
方法:自由記述を用いた質的研究を行った.2017年3月に自記式調査票を全国273ヵ所の子ども食堂に郵送した.実施者に,子ども食堂にどのような効果があると思うかをたずね,自由記述で回答を求めた.分析対象は,調査票の回収できた120ヵ所の子ども食堂(回収率44%)の回答とした.得られた回答をコード化し,類似した内容でまとめたサブカテゴリー,さらに抽象化したカテゴリーを生成した.その際,それぞれのコードが,子ども・保護者・地域/地域住民の何れを対象とした効果であるかを回答の文脈から判断し,コード名を決定した.さらに,サブカテゴリーごとに何れを対象としたコードが含まれるかを整理し,その結果をカテゴリー名にも反映させた.
結果:子ども食堂の効果は,40個のサブカテゴリーから構成される9個の【カテゴリー】に分類された.【子ども・保護者の生きる力の向上】,【子ども・保護者の気分の改善】,【子ども・保護者・地域住民の充実感の向上】,【子ども・保護者・地域住民の生活全般の改善】,【子ども・保護者・地域住民の食生活の改善】,【保護者の育児状況の改善】,【子ども・保護者・地域住民のつながり促進】,【子どもの防犯】,【地域づくり】である.
結論:子ども食堂には,参加する子どもに対する効果だけでなく,保護者や地域/地域住民への効果もあることが示唆された.