日本健康教育学会誌
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実践報告
成人男性における体重の減量維持を可能にした保健行動と健康管理意識のプロセス
―M-GTAを用いた自己管理期間の分析―
古澤 洋子高橋由美子森 礼子尾関 唯未大見サキエ
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2018 年 26 巻 3 号 p. 270-279

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抄録

目的:特定保健指導終了時,減量が成功し,専門職の支援のない自己管理期間を通して,減量維持を継続した成人男性を対象に,減量維持を可能にした保健行動や健康管理意識のプロセスを明らかにすることを目的とした.

方法:特定保健指導により減量が成功し,自己管理期間を通して減量維持を継続できた成人男性10名を対象とした.半構造化インタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した.

結果:26の概念が生成され,6つのカテゴリー,1つのコアカテゴリーを抽出した.対象者は,体重の自己評価をしながら《調整する方法を主体的に体得》し,負担感を軽減する《主体的な自己制御》をすることで保健行動を継続していた.<コントロールできた満足感>や自信により,《減量維持を成就する信念≫を形成し,≪自己決定する行動力≫を身に付けていた.それらの相互作用から【減量のための自己管理能力を獲得】したことにより,減量維持を可能にしていることが結果図として示された.

結論:自己管理期間の対象者は,減量に対する保健行動を毎日繰り返し継続する中で,自己決定する行動力や減量維持を成就する信念を形成し,その相互作用から減量のための自己管理能力を獲得していた.特定保健指導は,対象者が自己管理能力を獲得できることを目指した支援が望ましい.

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© 2018 日本健康教育学会
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