これまでにオリンピアンの健康について調査した欧米の研究は,オリンピアンは一般人と比較して糖尿病,高血圧,虚血性心疾患といった非感染性疾患の罹患率が低く寿命が長い傾向にあることを報告している.日本においても1964年東京オリンピック出場選手が追跡調査され,「東京オリンピック記念体力測定の総括」として追跡データの解析が進められている.また,オリンピアン以外を対象に調査した研究は,オリンピアンに限らず,青年時代にスポーツを経験した人は成人後の非感染性疾患の罹患率が低く,寿命が長い可能性があることが報告されている.2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機に今まで以上に多くの青年がスポーツを定期的に楽しむようになり,世界の人々の健康度がさらに向上することが期待される.