日本健康教育学会誌
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特別報告
Global Action Plan on Physical Activity 2018–2030について—SDGs, オリンピック・レガシーとともに考える—
小熊 祐子
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2020 年 28 巻 2 号 p. 92-100

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抄録

身体活動は多くの健康上の効果が認められているにもかかわらず,不活動者は世界的に増加している.蔓延する身体不活動の問題に世界レベルでより積極的に取り組むため,2018年5月の世界保健総会で決議され,6月に世界保健機関がGlobal Action Plan on Physical Activity 2018–2030(GAPPA)を発表した.GAPPAでは,身体不活動を減らし,健康的で持続可能な世界をつくるため,「アクティブな社会を創造」「アクティブな環境を創造」「アクティブな人々を育む」「アクティブなシステムを創造」という4つの戦略目標とそれぞれの目標に4–6項目,計20の政策措置が設定されている.これらの戦略目標及び政策措置はそれぞれ独立したものではなく,相互に関わり合っており,システムベースのアプローチにより,コベネフィットを生み出し得るものであり,各分野が協調して取り組むことで成し得るものである.アウトカムは健康だけでなく,持続可能な行動目標(Sustainable Development Goals, SDGs)の多くの項目にもつながっていく.長期的なオリンピック・レガシーを考えたとき目指すものが共有できそうだ.今後各レベルでステークホルダーが集まりGAPPAを咀嚼し自分たちに合ったシステム図を描き,実行・再評価・共有し,スケールアップしていく必要がある.

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© 2020 一般社団法人日本健康教育学会
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