日本健康教育学会誌
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原著
保育者の健康に関する活動の自己評価及び「健康」保育者効力感とそれらに関連する要因の検討
三宅 公洋 友川 幸友川 礼朝倉 隆司
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2020 年 28 巻 4 号 p. 287-298

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抄録

目的:健康関連活動の実施状況・成果についての保育者の自己評価と「健康」保育者効力感の実態,それらに関連する要因を検討した.

方法:混合研究法の収束的デザインを用い,乳幼児教育・保育の施設(1施設)の施設長への聞き取り調査と職員に対する自記式質問紙調査を行った.職員対象の調査では,属性情報,健康関連活動の取り組み状況・成果の自己評価,評価の理由,効力感等についての回答を得た.効力感は,「健康」保育者効力感尺度を用いた.

結果:質問紙の回収率は61.5%(39名中24名)であった.活動の取り組み状況は29.2%が,活動成果では25.0%が,十分であると答えた.取り組み状況の評価理由では,直接的な健康関連活動のみならず,日常的な養護的取り組みが挙げられた.成果の評価理由では,活動実績や子どもの変化等が挙げられた.現在の施設での勤務年数は,取り組み状況(P=0.004)及び成果(P=0.006)の評価と関連が認められ,担当クラスは,取り組み状況の評価と関連が認められた(P=0.008).「健康」保育者効力感の平均点(SD)は80.1(9.0)点であったが,いずれの項目とも有意な関連は認められなかった.

結論:調査結果には施設の特徴が強く反映された.健康関連活動の充実には,日常的業務への留意,子どもの変化等を確認する工夫,日常業務の円滑化,新規採用者等が対象の研修等が有効であることが示唆された.

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