目的:スポーツ事業への参加高齢者を対象に,コミュニティ意識と保護者としての学校参加経験との関連を明らかにすることを目的とした.
方法:スポーツ事業に参加した60歳以上の住民766名を対象に,自記式質問紙調査を用いた横断研究を実施した.質問項目は,基本属性,保護者としての学校参加経験に関する項目,コミュニティ意識とした.性別,年齢,居住年数,職業,居住形態,婚姻状況,子育て期の居住地を調整変数とし,二項ロジスティック回帰分析を用いて,コミュニティ意識の高低と保護者としての学校参加経験との関連性を検討した.
結果:多変量解析の結果,コミュニティ意識と学校行事の参観(オッズ比[95%信頼区間]=3.48[1.44, 8.40]),学校行事の準備(2.40[1.45, 4.00]),PTAの一般業務(1.76[1.10, 2.82]),親や教員同士の親睦会(1.81[1.14, 2.87]),保護者間SC(保護者間ソーシャル・キャピタル)(1.86[1.16, 2.97]),学校信頼(3.10[1.74, 5.52])との間に有意な関連性が認められた.
結論:スポーツ事業への参加高齢者のコミュニティ意識の高さと,過去の保護者としての学校参加を通じた保護者相互や地域との関わり合いの経験において,有意な正の関連が認められた.