2021 年 29 巻 2 号 p. 189-197
目的:大学生アスリートを対象として,かぜ症候群・インフルエンザと花粉症の罹患状況,かぜ症候群・インフルエンザへの対処行動および花粉症への対処行動の実態を明らかにする.
方法:対象者は,4年制大学の運動部に所属しているアスリートであった.対象者は,かぜ症候群・インフルエンザの罹患状況と対処行動,および,花粉症の罹患状況と対処行動について質問された.
結果:本研究の分析対象者は149名であった.約2/3の者は,過去1年間において,かぜ症候群・インフルエンザに罹患した経験を持っていた.マスク着用行動のステージについては,約16%はマスクを着用することがなく,必ずマスクを着用すると回答した者は約半数にとどまっていた.インフルエンザ予防接種行動のステージについては,対象者の7割弱が,予防接種を受けない年があると回答していた.また,およそ半数の者が過去1年の間に花粉症の症状を経験していた.花粉症への対処方法として,「内服薬を使う」など13個のカテゴリが得られた.
結論:本研究の結果から,大学生アスリートがかぜ症候群やインフルエンザに罹患したり,花粉症を経験したりすることは一般的なことであるといえる.かぜ症候群やインフルエンザに罹患した際のマスク着用行動とインフルエンザ予防接種行動については,行動実施の意図を持っている者が多いものの,実際に行動を採択していない者もいることが確認された.