2024 年 32 巻 2 号 p. 84-93
目的:情報通信技術(information and communications technology, ICT)活用により特定保健指導を効率的・効果的に実施するために,ICTを活用した面接のメリットとデメリットを調べることを目的とした.
方法:2022年8~9月に特定保健指導の委託会社A社と契約している管理栄養士で対面およびICTを活用した初回面接の経験がある者を対象に,WEB調査とインタビュー調査を行った.調査項目は属性等,ICTを活用した面接のメリットとデメリットであった.WEB調査ではメリットとデメリットを自由記述式でたずねた.自由記述の回答とインタビューの逐語録からICTを活用した面接のメリット・デメリットを抽出し,コード化やカテゴリー化を行った.
結果:WEB調査は78名,インタビュー調査は6名が回答した.ICTを活用した面接のメリットとして495件のコードが抽出され,〈利便性〉〈面接しやすさ〉〈資料の共有や管理〉〈指導しやすさ〉〈感染症関連〉〈学びや経験〉に分けられた.デメリットとして484件のコードが抽出され,〈ICT利用の物理的な障害〉〈ICT利用の認知的な障害〉〈コミュニケーション〉〈指導しにくさ〉〈資料やツール〉〈環境の設定〉〈時間の調整〉に分けられた.
結論:ICTを活用した面接には,メリットもデメリットもあった.より効率的・効果的な特定保健指導を実施するためには,対象者や環境に合わせてICTと対面での面接を使い分ける必要性が示唆された.