2024 年 32 巻 3 号 p. 226-233
目的:第32回日本健康教育学会学術大会奨励賞受賞記念講演にて,筆者が2010年から2018年まで所属していた琉球大学健康づくり支援プロジェクトLibと市町村,住民による地域のつながりを活かしたヘルスプロモーション実践の成果について報告する.
内容:A市の健康教室参加者は,教室終了後に健康づくり推進委員となり,地域で特定健診受診勧奨の活動や,地域の環境改善として空き地を整備した花植えの活動など,住民主体の健康づくりと地域づくり活動の中心を担った.B市の介護予防事業では,参加者相互援助型の動作法により,高齢者の不活性の原因にもなる痛みを改善させたことに加え,3つの事業が連携し,動作法による高齢者の生活支援のネットワークづくりが行われた.D村では,楠の経営戦略モデルを参考に,コンセプトを「パートナーづくり」,しかけを「競走」とした健康づくり戦略モデルが作成・実践され,戦略変更後に住民による積極的な事業参加や住民同士の事業参加呼びかけなどが行われた.
結論:実践者や研究者が地域住民とパートナーシップを形成し,健康づくりの仲間を増やしていく視点を持って実践を進めることで,より広く住民に健康づくりを波及させる可能性は高まる.加えて,地域の健康づくりを介した住民との交流は,多くの学びと健康づくりのアイディアを実践者や研究者にもたらすことを報告した.