目的:不眠と朝食欠食の組合せによって,労働生産性が異なるのかを検討することを目的とした.
方法:2022年に20~59歳の労働者20,000人を対象に実施されたインターネット調査「WELWEL」のデータを二次利用した.対象者を不眠と朝食欠食の有無によってそれぞれ2群に分け,カイ二乗検定を用いて属性の比較を行った.従属変数を労働生産性,独立変数を不眠と朝食欠食の有無とし二元配置分散分析を実施した.さらに,すべての属性を調整変数として強制投入した二元配置共分散分析を実施した.
結果:解析対象者15,731人のうち,不眠ありの者(アテネ不眠尺度6点以上)は5,883人(37.4%),朝食欠食ありの者は5,260人(33.4%)であった.不眠の者と朝食欠食ありの者に共通する特徴として,若年者,一人暮らし,労働時間が週50時間以上であることなどがあげられた.二元配置共分散分析では,不眠と朝食欠食の主効果および交互作用が認められた(不眠:F=964.43,朝食欠食:F=24.39,各々P<0.001,交互作用:F=4.94, P=0.026).
結論:不眠があり朝食を欠食する者は,労働生産性が最も低かった.睡眠の確保や朝食摂取推進のための支援や労働環境の整備が求められる.
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