2024 年 32 巻 3 号 p. 191-198
学校健康教育においてもヘルスリテラシー(以下HL)の育成が求められている.本稿では,学校健康教育においてHLを育成することの意義,方策,課題を明らかにすることを目的とした.HLは「健康情報を入手し,理解し,評価し,活用するための知識・意欲・能力」と捉え,健康情報にサービスを含むものとした.分析資料は,日本のHLの定義,内容,育成に関する論文・著書,海外のHL育成のレビュー論文から選択し,米国健康教育基準National Health Education Standards(以下NHES),同基準に対応した米国の中高生用プログラムを参照した.日本の学校健康教育では「保健の授業」の目標,内容を中心に分析し,中高の学習指導要領解説保健体育編等のHL関連内容とNHES等との比較も行った.その結果,保健の授業では課題解決的な学習の重視が確認できた.また,課題発見から解決までの過程と,情報収集から活用までのHLの過程の間に共通性が認められた.したがって,今後,課題解決的学習やHL育成が強く求められると推測された.ただし,課題解決的学習については,学習指導要領解説,実践とも,解決の過程における具体的方策の記述が不十分と判断された.また,その改善には,HLの過程での具体的方策,国外のスキルベースの健康教育の学習過程が参考になり,学習方法として参加型学習の充実が必要と判断された.